「杏樹ちゃんは要先輩と仲直りしたいでしょ」
「...」
「正直に言ってごらん」
「...はい」

杏樹ちゃんは年相応の小さな声でそう言った。

「じゃあ、誤らなくちゃ」
「でも、私悪くないじゃないですか。ただ要をシカトしただけで」
「でも、シカトしたって事は要先輩は何か言おうとしたんじゃない?」
「あっ」
「そうですよね、要先輩」

そう私が大きな声で言うと、ドアが開いて要先輩が入って来た。

「いつから分かってたの?」

要先輩は苦笑しながら私に聞いてきた。

「私が杏樹ちゃんの怒っている理由を聞いていたときです」
「透視のアビレベルだね」
「で、杏樹ちゃん。要先輩に何か言わないの?」
「要、今朝はシカトしてごめんなさい」

杏樹ちゃん、ご丁寧にお辞儀までしてるよ。

「杏樹は悪くないよ。ごめんな、俺がいけなかった」
「でも、要、正確にはお姉ちゃんがいけないような気もするけど」
「まぁ...」

ガラガラ!

「おはよう」
「おっす」
「噂をすれば」
「お姉ちゃん。昨夜の事で話があるんだけど」
「何?」
「なぁ、昨夜の俺と杏樹の喧嘩の原因は杏奈にあるって事だ」

おお、初めてみたよ。
要先輩が男言葉でしゃべったところ。

「結衣ちゃん、それじゃ俺がいつも女言葉しゃべってるみたいになってる」
「は!すみません」
「なので、お姉ちゃんには罰を受けて貰おうと思いまして」
「罰って何?」
「まず、私が1週間お姉ちゃんをシカトし続けます」
「え~。分かった。これから要をイヌと呼ばない事にしますからそれはご勘弁を!!」
「それと?」
「ごめん要」

そう言った杏奈先輩だが、
その目は要先輩をすごく睨んでる。

「いいよ。」
「なんか一件落着って感じだね」

ダダダダダダ!

「おはよ~!皆。結衣!酷い!置いていくなんて!」
「いいじゃないですか。たまには」
「結衣先輩、一応謝っておいた方がいいですよ」
「分かった。ごめんなさい秀会長」
「しかたないなぁ。その罰として、俺に敬語を使わない事と名前を呼び捨てにすること!分かった?」
「はぁ。分かった」
「ちなみに、この罰兼約束を破った場合、お仕置きを考えておくので。忘れないでね☆」
「えーーーーーー」
「秀先輩って独占欲凄そうですよね...」
「何か言った杏樹ちゃん」
「いえ、色々と頑張ってください」

何か良く分かんないけど、
一件落着でよかった。