次の日の朝...

「おはようございます。結衣先輩」

Sクラスの教室に行くと、杏樹ちゃんが一人で自分の席に座っていた。

「杏樹ちゃん早いね」
「私は早起きなので。ところで先輩は会長と一緒に来ないんですね」
「ああ、今日の朝、会長が寝坊したから置いて来たんだ」
「結衣先輩って意外と怖いんですね」

ちょっと杏樹ちゃんが引いていた。
何でだろう?

「そう言う杏樹ちゃんだって要先輩と一緒じゃないじゃん」
「それは、私が要に怒っているからです」

杏樹ちゃんが要先輩に怒ってる?

「どう「どうして私が怒っているか知りたいんでしょ」

わぉ
思いっきり私が言おうとしたことを言い当てたよ!

「教えてくれるの?」
「まぁ、いいですけど。」
「じゃあ、相談に乗ってあげる」
「別にいいです。
昨夜、私とお姉ちゃんは先に退場したでしょう。その後すぐ、私達は自分達の部屋に行ったんですよ。で、私の部屋に要はいない代わりに高等部ぐらいのEarth寮の女生徒がいて、私に"要先輩は何処?あなたはどうして要先輩の部屋にいるの!?"って言われて殴られたんです。要のせいでですよ!?それで私はその女生徒に私が部屋にいる理由を述べて、部屋から追い出したのがもう10時です。それから1時35分に要は部屋に帰ってきたんですよ。で、要は夜中にバタバタ五月蠅いし、要の女ったらしのせいで私は殴られたんですよ!?そりゃ誰でも怒るでしょう。そう思いません!?先輩!」

おお、杏樹ちゃんがここまでエキサイトするのは初めてみた。
でも確かにそれは要先輩が悪い。

「確かにそれは要先輩が悪いね。ところで杏樹ちゃんにとって要先輩ってどんな人?」
「いきなりなんですか?」
「いいから。」
「要は私の婚約者です。言い忘れていましたけど」
「えーーーーー!」
「ちなみに悟先輩はお姉ちゃん、つまり杏奈の婚約者ですよ」
「へーー!でもいつも思うけど二人って似てないよね」
「よく言われます」
「でも杏奈先輩は綺麗って感じで、杏樹ちゃんはクール系美女って感じだよね」
「そうですか?」
「うん」
「ありがとうございます。そう言う結衣先輩は可愛い感じですよね」
「そんな事ないよ」
「そんな事あります」

何か急に言われると恥ずかしい。

「と、ところで杏樹ちゃんのアビって何?」
「私のアビですか?」
「うん」
「私のアビは5つあるのですが、そのうちの一つだけ教えましょう。私のアビは声フェロモンのアビです」
「声フェロモンのアビ?」
「はい。声フェロモンというのは声を聞かすだけで相手を操る事ができるし、使う人しだいで皆を幸せにできるし、不幸にもできるアビです」
「すごいんだね」
「そんな事ないです」
「杏樹ちゃん、話戻るけど、要先輩と仲直りはしないの?」
「それは...」