夜、
少年は、眠れなくなると家をそっと抜け出し

自転車に乗って、この公園の池のそばの木の下で
池を眺めます。

月の光に照らされた、池の中では、
パシャリと魚が跳ね、
あめんぼがスィーっと滑っています。

別に、眠れないからといって、
こんな所に来なくても良かったのですけど、

真っ暗な部屋の中、みんな眠っているのに、自分だけ取り残された気がして、

だからといって、電気をつけて、
みんなを起こしてしまうのも、悪くって
こうして時々、
眠れない日にはこうやって、
この公園に行くのです。

ここには、自分以外にも起きてるものが、いっぱいいるし、

それに今日はなんて綺麗な月夜なのでしょう。


「うれしい。夜は、真っ暗なのだけじゃないんだ」




おしまい