それは現重役の配置がえもあり得ることである。 サラッと重大なことを言ってくれたな。
ちょっと呆れてしまう。
「だからこれから頻繁に律が同行するかもだから、宜しく。」
頻繁に同行か。
静奈は何故か少し緊張してしまった。
「かしこまりました」
静奈は社長に頭を下げ、社長室を出て行った。
社長-…五十嵐暁斗は書類の山から顔を上げた。
そして椅子をクルッと回転させ、窓から外を眺める。
10階建ての自社ビルは都会の中に負けじと存在を放っている。
大きな窓から見えるこの都会の景色を暁斗は律に見せたかった。
『俺は一生、ただの営業社員でいいんです』
入社当時はそんな事を言っていた。
しかし-…。
「お前の居場所はそこじゃねぇよ。」
暁斗は外を眺めながらそうひとりごちた。