静奈はしっかりと圭子に頷いた。
圭子の気持ちは必ず伝えなければならない。
「良かった。これで安心してアメリカに戻れるわ」
圭子は少し楽になったように息を吐いた。
伝えなければと思った。圭子にも高柳の気持ちは伝えなければ。
たとえ、２人が分かち合うことはなくても。
「あの…」
「なぁに？」
圭子は可愛らしく首を傾げる。
「律は…圭子さんの気持ち、わかっていると言っていました。」
「…そう」
「昔は…わからなかったけど、今なら少しはわかると。だから何を言われても受け止めるって…」
「そう…。そんな事を言っていたのね。…きっとそんな事が言えるのも貴女がいるからでしょうね。」
圭子は優しく微笑んだ。
“彼なら主人と同じ過ちは犯さないでしょうね”
そう小さく呟いたのだった。
