高柳と会う約束をしたが、それは守られそうになかった。



「え?今日ですか?」



秘書課に戻ると圭子が1人、暇そうに静奈を待っていた。

高杉秘書や貴子は外出中のようだ。


そして、隣で可愛らしく微笑む圭子に静奈は戸惑った。



「ええ。今夜、良かったらご飯行かない?」

「あ、えっと…」

「ダメかしら?何か約束あった?」



残念そうに目尻をさげる圭子に静奈はさらに戸惑う。


どうしよう…。



「デート?」

「えっと、まぁ…」



ぎこちなく頷く静奈に圭子は残念そうに俯く。



「そう…。あ、なら彼氏も一緒にどうかしら!?」
「えぇ!?」



それは出来ない!



「いいじゃない。私、会ってみたいわ」

「あ、いや、彼は仕事もあるし、その今日は多分会えないかも知れませんので!だから今日は私と食事に行きましょう?」
「あらそう?ありがとう」



早口で圭子と食事にいくことを伝える。


高柳にすぐにメールしなくては、とガッカリした気持ちを抑えた。