「関谷部長ほど、業績に結果を残せた人物は今まで誰ひとりといなかった。だから彼を今失うと我が社の損失となる。」



社長の暗に秘めた言葉に気がついた人は息をのんだ。


つまり社長は重役らに対して、関谷部長ほど仕事が出来ていないと言っているようなものであった。



「しかしそれでは他の社員に示しがー…」

「わざわざ示す必要なんてない。事実は俺たちがわかっていれば十分だろう」



社長のキッパリした言葉に全員が黙る。


いい歳したオジサン方が30過ぎの若造に黙らされる。


黙らされるほど、五十嵐社長には説得力があり、決断力、判断力、行動力、そして社長という威厳のようなものが滲み出ているのであった。


五十嵐社長の判断で今まで凶と出たことは一度もなかった。