思えば自惚れていたのかもしれない。
社内で1、2を争う人気の高柳律。
出会いが最悪でずっと苦手だなんて思っていたけど、一緒に仕事するにつれて他の女子社員よりも近くにいて、彼を知っていくうちに自分が彼の特別に感じていた。
あんな風にキスまでされて…。
でもそれは高柳の気まぐれに過ぎなかったのだ。
高柳にとってはからかいがいのある後輩。
周りから好意を持たれやすいから、静奈のように苦手意識を持っていた人間が珍しかったんだ。
“好きっていうのとは違う”
それが高柳の本音なのだ。
こんな風に知りたくはなかった。
好きじゃないならキスなんてしないで欲しかった。
優しくしないで欲しかった。



