考えによっては証拠を渡すと言っていた。

社長の決断は友香の考えに沿ったということだろう。


鼻がツンとする。夕日が切なさを煽る。



「ダメダメ。しっかりしなきゃ。早く片付けて帰ろう」



そう頭を振って、机の上のお茶を片付けようとした時



「あれ?」



ソファーの間に携帯が落ちている事に気がついた

友香のである。


慌てて社長室をでてエレベーターまで行くと、見送っていた社長が戻ってきた。



「どうした?」

「あ、忘れ物が…。」

「そうか。今ならまだ間に合うよ」



社長なにっこり微笑み、それ以上は何も言わなかった。


秘書室の中にいる高杉らに関谷部長を呼び出すよう声をかけているのが後ろから聞こえた。