高柳は思わず黙り込む。
『律。気持ちはわかるが、これは可能性の一つだ。まだそうと決まった訳ではない』
「…はい。わかっています。」
『頼んだ』
高柳は通話の切れた携帯をボンヤリみる。
まさか関谷部長の名前が挙がるとは思わなかった
関谷部長は高柳も入社当時からお世話になった部長のひとりである。
昔は厳しかったが役職についてからは穏やかになり、メリハリのある仕事の仕方は部下に慕われていた。
そんな部長がライバル会社にリークしていたなんて思いたくなかった。
しかし―――………
「関谷部長のゴルフ仲間に渡辺グループ専務、専務は鮫島社長と親しい。 …関係している可能性はあるのか…」
そうすると静奈の連絡ミスの件も裏に何かあるのだろう。
高柳はぐったりとソファーに座り込んだ。