高柳は相変わらず窓の外を見つめたままだ。


別に喧嘩はしていない。

ただ…なんだが高柳がわからない。


優しくしたり冷たくしたり。

近づいたと思ったら関係ないとか言う。

それとも昨日のこと、怒っているのだろうか。


今だって…難しい顔したままこちらを見ないのだ


重い沈黙のまま高柳のマンションに着く。



「到着しました。」

「あぁ。」

「あ、あの高柳さん…」


ベルトを外した高柳が振り返る。



「何?」

「えっと…あの…」



呼び止めたはいいが、言葉が続かない。

何となく呼び止めてしまったのだ。


高柳は黙って静奈を見つめる。


どうしよう…。
何を言えば良いのかわからない。



「何でもないです…」

「…本当に?」

「え?」

「いや…、何でもない」


高柳は水のペットボトルをドリンクホルダーに置く。



「俺…酔っ払ってるかも」

「え?あ…結構飲んでましたもんね」

「もし…俺が水を飲ませてって言ったらどうする?」



低い声でそう尋ねてくる
一瞬固まった静奈をチラリと見た。



「た、高柳さん…?」

「どうせ覚えてんだろ?」

「それは…」

「なぁ、お前ならどうする?」



高柳は身体をグッと静奈に寄せた。

あまりの近さに思わず赤面し、顔を背ける。



「酔っ払ってます?」

「昨日のお前と一緒だな」



低く甘い声で囁いてくる