重い沈黙が出来てしまい、静奈はあえて明るい声で聞いた。



「昨日はあれから2人で食事に行かれたんですか?」

「行ってない。っーか、お前気がついたろ?俺と友香のこと」



遠まわしに探ろうと思っていたのだが、高柳にアッサリと確信を突かれる

静奈は思わず口を噤(つぐ)んだ。

その確信にポンポン答えられるほど気持ちはまだ落ち着いていない。

むしろ苦しくなる。


答えられず黙る静奈に高柳は小さく息を吐く。



「友香とは3年前に終わっている。変に気を遣わなくて良かったのに。」


確かに、静奈の行動は端からすれば余計なお節介だったろう。


でも静奈からすれば居たたまれない。



「そうなんですか。ごめんなさい。本当に予定があったから…」



そう言いながら静奈は膝の上のお弁当を突っつく。

高柳が何か言いたげな視線を送った時、携帯が鳴った。


その音にビクッとする。
高柳は面倒くさそうにスーツのポケットから携帯を取り出した。

画面を見て、何故か電話を切る。



「え!?いいんですか!?」
「あぁ。」



しかし電話は再びかかってきた。



「出て下さい。」

「…」



高柳は画面を見たまま面倒くさそうに立ち上がって静奈に背を向けた。



「…はい。」



低い声で電話に出る。

営業の彼がそんなトーンで出るということはプライベート電話であることが直ぐにわかる。