でもこんな時に限ってバッタリと会ってしまうものだ。


高柳に会わないよう、社食を避け、会社の近くの公園のベンチでお昼を取っていた。

その隣に突然、ドカッと人が座ったのだ。


驚いて見ると、そこには高柳がいた。



「た、高柳さん!?」

「…よぉ」



なぜ高柳が!?という驚きと焦りを感じつつ、いつもより低いトーンにギクッとする。

笑顔がないクールな表情はいつものことながら、なんだかそのオーラが重い。

つまりはなんだか機嫌が悪いようである。



「昨日、なんで先に帰った?」



やはりその件だったか。
確かにあからさまに不自然に帰った。高柳がそう思うのも不思議ではない

まかさ逃げたかったとは言えず、とりあえず静奈は笑顔を作って言った。


「予定が…」

「嘘つけ。友香が来たからだろ?」



『友香』


その言葉に落ち着けた胸がまたズキンとする。

俯きそうになるのを無理に上げた。



「そうじゃないです。」


静奈の返しに納得いかないのか、前を向いたまま顔をしかめていた。


そんな表情さえも見入ってしまう。


自覚してからは、純粋にこうして隣に居てくれるだけでも嬉しいと感じる

でもそれと同時にすでにこの恋に逃げ腰な自分も自覚しているのだが。