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ほとんど眠れなかった。


静奈はベッドの上で座り込んでボンヤリとする。

久々の胸の痛みだなぁ。
何年ぶりだろうか。誰かを想ってこんなにも切ない気持ちになるのは。

目をつぶると絵になる2人の姿が浮かぶ。


あれから2人どうしたのかな。食事に行ったのかな。



高柳に似合う人なんてそういないと思っていたが、いるもんだな。


しかも友香さんは…



「元カノだよね…やっぱり…」



あの2人の独特な空気感

呼び慣れた名前。


静奈はすぐに気がついた のだ。

2人の関係を。

いや、静奈だから気がついたといえる。


なぜなら、だって…



「好きだって自覚したばっかりなのに、これはキツいよ…」



高柳を好きになっていると自覚した、まさにその直後に元カノ登場だなんて。



「っーか、本当に“元”なのかな…?ハハ…気持ちグチャグチャなんだけど…」



ただでさえ、好きだと自覚してどんな顔して会えば良いかわからないというのに…。



「はぁぁ…」



重いため息しか出なかった。