「律…?」
突然、驚いたような声が後ろからする。
その声に反応して振り返った高柳の表情が一瞬にして凍りついた。
「やっぱり律じゃない!何でいるの!?」
紺のパンツスーツに肩に届くかどうかといったショートヘア。スラッとしたスタイルに、くっきり二重で小顔の女性が親しげに笑顔を向けた。
凄い、美人。
女性は嬉しそうに高柳に近寄ってくる。
「友香…?」
その女性が目の前まできたとき、高柳が呟いた。
『友香』その呼び方に静奈はドキンとした。
知り合いなのだろうか。女性も高柳を『律』と親しげに呼んでいた。
しかしお互いを名前で呼び合うなんて…。
静奈はざわつく胸をソッと押さえる。
「3年ぶりくらいじゃない!?久しぶりね。元気だった?」
嬉しそうに高柳の腕を掴む。
それを見て静奈はざわついた胸がギュッとされる。
高柳はその腕をソッと離しながら女性に目を向けた。
「お前、何で…?」
「半年位前に日本に帰って来たのよ。」
友香と呼ばれた女性は嬉しそうに高柳を見上げる。
チラッと高柳は面倒くさそうな表情を見せた。
その2人の空気感に静奈は嫌な予感がした。
知り合い、友達以上の空気感を感じたのだ。
この二人…もしかして…
「何で律がここにいるの?ウチの会社に用?」
「別にってあ~…、お前Kグループだっけ?」
「そう変わらず営業よ。律、変わらないなぁ。ねぇ、良かったら久々に食事にでも行かない?」
友香はそう言った後、高柳の後ろに立っていた静奈に気がついた。