気がつけば愛でした




「貴子先輩!」



廊下に出た貴子は静奈の声にビクッと肩を震わせた。



「あの…貴子先輩…」



静奈はどう言えばよいかわからず口ごもると、貴子が青い顔をして振り返る。



「静奈…」

「貴子先輩?まさか…」
「違うわ。私ではない。私はそんなことしないわ!でも…」

「でも?」



そこで貴子は黙って俯いた。

静奈は一瞬、貴子が企画をリークしたのかと思った。しかし、貴子はそれを否定した。
なら貴子は何をそんなに動揺するのだろうか。


詳しく聞こうと貴子に一歩近寄った時、近くのエレベーターが突然開き、貴子と静奈はビクッとする。


中から出てきたのは高柳だった。



「あ…高柳さん!」

「社長は?」

「部屋に…、あっ貴子先輩!?」



静奈が高柳の方を向いた時、貴子はその場から走って行ってしまった。


まだ聞きたいことがあったのに…。



「どうかしたか?」

「あ、いえ…」



貴子が気になりつつも、社長に会いにきた高柳を案内する。


高柳もニュースを知ったのだろう。その表情は険しかった。



「律。呼ぶ前に来てくれるとはな。」

「Kグループに行かれますか?」



スーツの上からジャケットを羽織った社長に言う。

そんな律に社長は頷く。


「律。お前、先にKグループの営業課に行って部長に話しを聞きに行ってくれ。鮫島との接触や動向がわかるかもしれん。」

「わかりました。」

「Kグループにはいつも静奈ちゃんが同行してたよね?」

「はい。一緒に行きます」



静奈は頷いて急いで準備をしたのだった。