静奈はゆっくりと目を開けた。
普段なら大抵、可愛い遮光カーテンが見えるのに…。
なんだろう。手の甲に何かが触れている。
これ…髪の毛…?
「重い。」
「え?」
低い聞き慣れない声に、一気に目が覚める。
ハッと目を開けると、そこには男の顔があり、手の甲がその男のおでこに乗っかかるように当たっていた。
「きゃぁっ!?だ、誰!?」
勢い良く飛び起き、その弾みでベッドから派手な音を立てて転げ落ちる。
「いったぁ…」
そう体をさすりながらも自分が服を着ていることにホッとする。
皺にはなっているが、それ以上に服が乱れている様子はなかった。
はっきりしてきた頭で周りを見渡す。
そしてここが自分のアパートではないことに気が付いた。



