「いいのかにゃ?愛情はなかったのにゃ?」
ビアンは、しつこくこうやって蒸し返してくる。
ビアンは彼女の作る餌がよっぽど気に入ってたんだ。
時々食べたいと愚痴をこぼす。
「あの彼女は俺に無理やり連れてこられた妄想。
純玲さんだけど純玲さんじゃない。
俺には作った記憶を植え付けるなんてことも、
不安そうな彼女を見続けることも、
俺にはできなかった。」
「坊ちゃんらしいのにゃ。」
ギューーっとヒゲを引っ張ってやった。
「うるせーんだよ。お前も早く帰れ!」
夢だったんだって思えば諦められる。
あの純玲さんは俺が作った妄想
そう、
俺のものにしたいという妄想が作った幻だ。



