愛は魔法を超えるかも☆

俺や、ビアンはいつでも、血で行き来できる。

瞬時で移動可能な、ホットラインみたいなものだ。

でも、純玲さんは、

交通機関を使って移動しなければならない。

二時間半電車を乗り継ぎ

やっと、オヤジの農園にたどり着いた。

「ここ?」

狐につままれたような顔をしている。

まさに農園。

田舎のどこにでもある農園に俺のオヤジはいる。

このどこまでも続くブドウ園の一角に

時のみを栽培しているのだ。

「ついてくるにゃ?」

黒猫に戻っても言葉をしゃべるビアン

純玲さんは、もう慣れたように

なんにも違和感を感じていないようだ

黙ってついて行く。

俺はできるなら回れ右して帰りたい。

でも、純玲さんを置いて変えることはできない。

渋々一番後ろから、

勝手知ったる自分の実家に向かって、

歩いた。