「そうして、『鬼』さえも吸収した彼女は、市民から見れば『厄払い』の対象。 自分達の負の感情を吸い取ってくれる、便利な女子でしかない。 ゆえに、【神】と呼ばれた」 「……………」 「そして【鬼巫女】とは、『鬼』や『負』の感情を直接吸い込んでも平気な陽子を見た一族の人間が 尊敬と畏怖の念を込め、彼女の事をそう呼んだそうじゃ」 わしはそこで一度言葉を切ると、怯える神無の顔を覗き込み 「似ているとは、思わんかね?」 目を細め、笑みを深めた。