「待ってて!!いま助けるッ!!」 私は、女の子に届かないと知りつつもそう声をかけると、霊力に意識を集中させた。 その瞬間、固く握られていた女の子の手から黒い煙があがり、私の霊力へ吸い込まれていく。 赤い瞳が徐々に黒色へと変わっていき――… ついに、女の子の手から包丁が落ちた。 「………ふぅ」 安堵のため息をつきながら、前のめりに倒れてきた女の子の体を受け止めたその瞬間 私の背後に、気配が立った。