掛け声と共に振り下ろした刃は、易々と石に突き刺さり。 みるみるうちに亀裂が入ったその石は次の瞬間、 パキッ…… という小さな音と共に真っ二つに割れた。 石の断面から『鬼』の気配が空気へ熔けだし、霧散する。 それと同時に、見開いていた男の瞳から赤い光が消えた。 フッ…と体から力を抜き、その場に横たわった男からは、もう『鬼』の気配なんて感じない。