「――芽有、下がって!!」 咄嗟に私は、芽有を背中に庇ってその男性と対峙した。 そのまま後ずさり、男から少し距離をとる。 『人間から、これだけの鬼の匂いがするなんて――… まさか、5段階目の鬼!? ……その割には、愁君が憑かれた時に嗅いだ、泥と血の匂いがしないけどなぁ』 ……と考えつつも、臨戦体制。 スカートのポケットから『符』を取り出し、油断無く構える。 ――しかし、男は動かない。