静まりかえる村。

あの頃がとても懐かしい。
にぎやかだったあの頃に戻りたい。

いよいよ、僕の役目も、もう終わりみたい‥‥‥‥‥。





イヤだよぉ!
もうみんなと会えないなんてイヤだよぉ!
お別れだなんて、イヤだよぉ!




とその時、遠くから車の音や、人の声がかすかに聞こえてきた。

おじいさんとおばあさん、村の子供達、大人達、最後みんな会いに来てくれたんだ!。

僕は、みっともないところを見せないようにと、涙をこらえてみんなと最後のお別れをしようと思った。

やがて、みんなの顔が見えてきた。





みんなの声、顔を見た時に僕は涙がポロポロこぼれてきた。



小さな女の子がお父さんの大きな手をギュッと握りしめて言った。

「‥‥‥‥これで‥‥‥本当に‥‥‥お別れになるの?」

小さな子供たちが大粒の涙をポロポロと流していた。

「そんな事はないよ、、、また会いに行こうね。」

ふと、小さな手を握っていた大人達の目からも涙がこぼれ落ちていた。




おじいさんは、泣き崩れそうなおばあさんを抱き抱えて笑顔で見送ってくれた。涙を流しながら。




みんな泣かなくてイイよ。

泣かないで、僕まで泣いちゃうじゃない。



夏、秋、冬、春、、、、、色々あったね。

とても楽しかったよ。

いろんな思い出をいっぱいくれた。

みんなが来てくれたから、それだけで幸せだったよ。

ありがとう。



ありがとう。



川や学校や家達、電信柱達、僕らもにっこり笑ってお別れをした。


僕らは生まれ変わるんだ!
みんなの為にダムになるんだ!。
みんなの役にたてるんだ!

だから


だから‥‥‥‥‥‥






涙が溢れて、止まらない‥‥。





でも悲しまないで、
消えていなくなるわけじゃないから、


それじゃ、僕ら、、ちょっとだけ休暇するね、、、。


バイバイ。

さようなら。













今は春。全ての始まりの年‥‥‥‥











やがて僕らは水に沈んだ。