「山田君? 未亜だけど、今ちょっと話せる?」

「…………る……っ」

「え? 何!?」



何か言ってるけど、周りの音が煩いのと、声が小さくて上手く聞き取れない。


マジ煩いな!!


何処にいるわけ!?



「山田君!?」

「くる、くる……回って……くるく……っ」

「え!? 意味分かっ……って、ちょっ、山田君!?」



電話切れちゃった……。


全く意味わかんないんだけど。



「山田何だって?」

「いや、よく意味わかんなかった。 くるくる言ってた……」

「え? 何それ、あいつ頭大丈夫?」



私は首を傾げながら彼に携帯を返した。


それから数十分後、青山君から彼の携帯に電話がかかってきた。


原付を運転していた山田君が事故に合ったという連絡だった。


私たちは急いで病院に向かった。


幸いにも大きな怪我はなく、山田君は元気そうだった。


でも山田君の怪我したところを見て、私も彼も言葉を失った。


彼の左足には痛々しい程の包帯が巻かれていたからだ。



「お前、足……」

「あぁ、たいしたことねぇよ。 骨に異常はねぇし、打撲だけだからよ」



山田君はあっけらかんと笑ってるけど、私たちはちっとも笑えない。


彼が電話を掛けた時、ちょうど事故に遭った直後だったようで、山田君は私たちと話した事を覚えていなかった。


山田君には写真の事は伝えず、お寺に持って行き供養してもらった。