肩を叩かれ私は飛び起きた。



「おはようございます」



笑いながらプレーヤーを拾ってくれる看護師さん。



「おはようございます。ありがとうございます」

「濡れタオルここに置いておきますね」



テーブルの上に置かれた体を拭く為の白い濡れタオル。


そして私の手には昨日落としたプレーヤー。


あの人誰だったんだろう……。


朝の明るい雰囲気のお陰か、昨日の恐怖はなくなっていた。


その日から私は音楽を聴きながら寝るのを止めた。


お昼寝をするのも止めた。


夜ぐっすり眠れなくなるから。


もう彼女に会うのは御免だ……。


彼女との遭遇以上に怖い思いをするなんて、この時の私は微塵も思っていなかった。