「な、なんだよ…」


反射的に一歩後ずさりしたのが間違いだった。
後ろに一歩下がったらちょうど壁に背中が当たってしまい、奴(武藤苑)の手で視界を覆い被される。
墓穴掘ったーーー!だって怖いんだもん!

おい。今日転入1日目だよな?
なんでこんな事に…。


「…だいたいの女は俺と目を合わせれば顔を赤くする。」


「……はぁ?」


あまりにも予想していなかった台詞が出てきて?ものすごく間抜けな声が出た。
……はぁ?何言ってるのこの人?
確かに普通の女子が見たら、赤くなるくらいの綺麗な顔してるけど…。イケメンさんだと思うけど?


私は……














……。




…………………。














何も言い返さなかったから
勿論

……無言。
え、何この沈黙。
な、なんか喋ってよ、、

未だにジッと視線を送るコイツの目から視界を離せずにどのくらい時がたったか。










何故か続く沈黙を破ったのはもちろん私ではなくコイツでもなく学校のチャイム兼優雅なクラシックだった。




「うぇ!?え、もうチャイム!?」





転入1日目ですよー!??



「冷水 ユキ。」


「っな、何?」




突然放たれた甘いハスキー声。
少し驚いた。




「職員室はそこだ。」


え、この学校土足かい!
このふっかふかの絨毯の上を靴でいいんかい。
てかもう着いてたんかい!


「それと、お前気に入った。面白い」



「は……?」



何言い出すのかこの男。
気に入った?interesting?
そりゃどーも……じゃなくて。


「……またな。」








行ってしまった。
え、またなって…。



どういうこっちゃ!