次の日――――。




時計は10を指していた。




家の呼び鈴が鳴った。




父さんはテニスをやりに行った。




姉ちゃんは友達と買い物。




パタパタと足音をさせながら走る。




「おっそーい!!」




ドアを開けたら
奏斗が不満顔で立っていた。




「ゴメンって!」




カチャンと急いで鍵を閉める。




奏斗がエレベーターを開けてくれた。




鉄でできた箱はゆっくりと下った。




「よーしッ、学校まで走るぞッ!」




「えっ、無理だって!!」




仮にも今、4センチヒールなんだから!




あの頃の、中学校の記憶が蘇る。