終わらない恋になれ






「殿下にかけた呪いは二つあってな。当然それを解く鍵も二つ。…一つ目の呪いを解くその鍵は、人間の娘の前で警戒心なく眠ることよ。心当たり、あるであろ?」




―――初めて透子に出会った夜。最後には俺の存在を受け入れたあいつは、迷わず俺を名前で呼んで。
地位も名誉もない、ただの俺として俺を扱ったその態度に、そういえば不思議と嫌悪感はなかった。



「な、…くもない、な」


「であろうなァ。…これまでは殿下という地位に目がくらみ、あやかろうとする連中ばかり群がっていたのであろ?もしその娘がそのような性根の持ち主だったなら一時も気の休まるときもなかったろうに、の?」


ニヤリと笑いながらそう返してくる婆。
すべて言い当てられていく様子に、俺の心が動揺しているのがわかる。



「………それより二つ目だ。正直俺は、なぜ呪いが解けたのか皆目見当もつかない。婆、早く言わないか」