―――びりびりと肌を刺す威圧感に鳥肌が立つ。
人とそう変わらない容姿ながら、明らかに違うところに見つけてしまった私は知らないうちに震え出していた。


…瞳の色が緑色で。
暗闇にとけ込むような黒髪に黒一色の軍服姿のくせに、それだけがやけにぎらついている。


ごくり、とのどが鳴った。






震える私をよそに二人はひそひそと何かを話し、話し終わったのかと思えばこちらを向く。
口を開いたのは、日向と呼ばれる人だった。



「―――お初にお目にかかります、未来の妃殿下。よろしければ名前をお教え願えますか?」


「…と、透子、…です」


雰囲気とは裏腹の優しい声にそう答えると、その人は穏やかにほほえんでくれた。