「……………ここ、は…」




次の瞬間俺が降り立ったのは見覚えのある部屋の中だった。


ここは魔界のヴァンパイア領、その中でも一番奥地にある屋敷。…俺が生まれ育った王の屋敷の一室である。




(帰って、これたのか)


あまりに性急に血を啜ったせいか、頭の芯がくらくらする。
そう思いながら俺の身体は部屋の中にある一番大きいソファに倒れ込むように身体を預けた。




一月と少ししか空けてないはずなのに、この空気がひどく懐かしい気がした。


でも次の瞬間、圧倒的に足りない何かを無意識に探し始めている自分もいる。


………あいつが、いない。