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無我夢中で貪った血の味は、とろけるような蜜の味がした。
あの瞬間我に返らなかったら、俺は間違いなく死ぬまで味わい続けただろう。
そうならなかったのは、首筋をも濡らしていたあいつの涙。
…泣かせるつもりなんてなかった。
俺の魔力で身体の自由を封じられたあいつは、心底おびえたまなざしで俺を見て。
きっとその心に刻み込んだんだ。…ヴァンパイアへの恐怖心、俺への畏れを。
―――そう思ったら、身体が勝手に動いていた。
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