…常陸に触れられてもこんなに怖いと思わなかったのに、どうして今はこんなに震え上がっているんだろう。
ヴァンパイアだという常陸以上に、私は今目の前にいる暁が怖かった。
「好きだよ、透子」
私に言っているはずのその言葉はなぜかひどく冷たくて、私がぎゅっと目を閉じた瞬間だった。
「―――その手を離せ、人間風情が」
刹那、一陣の風が猛烈に私たちを襲ってきた。
気づくと私は解放されていて、暁は地面に投げ出されている。
声のしたほうを見ると、そこには殺気めいたオーラを纏う常陸が立っていて。
…あまりに突然の出現に、私は違和感に気づかなかった。

