気がつけば蜃気楼でもおきたみたいに視界がかすんでいた。 ゆらゆら、ゆらゆらと。 気づけば頬を涙が伝い、頬から顎先に、そうして落ちて。 今初めてかたどられて、でも実るはずのない私の気持ちごと、地面に弾けて消えていった。 「…私の、片思いだから。だから暁には関係ないよ」 絞り出すようにそう伝え、言外にひとりになりたいと伝えたつもりだった。 でも暁は動かない。ふだんの暁なら気を利かして去っていくはずなのに。 「…関係ないとは言わせない」 そう思った瞬間、私の上体は暁のほうに傾いていった。