終わらない恋になれ






何か、したんだろうか。


…そう考えてみても全く身に覚えがない。
身に覚えがないからこそ謝りようも反省しようもなくて、ただ漠然と心にもやがかかったような気持ちになる。



「ねぇ常陸」


「…さっきから何だ。早く行けと言っているのに」


いつもの偉そうな口調より刺々しいその声。
…そんなんじゃ、“どうしたの?”とも“怒ってるの?”とも聞けないよ。






「………ううん。行ってくるね」


ここ数日でずいぶん臆病になってしまった私は、いつもと違う常陸の様子にもうそれしか言えなかった。


そうして、力なく立ち上がり玄関をくぐっていく私の後ろ姿を常陸が何か言いたげに見ていたなんて、私にはわからなかったのだ。