―――なぜ?


なぜ、今。


…ヴァンパイアとして覚醒してしまった今、透子のそばにいてはいけない。
いつか傷つけてしまう。
いつか透子の血を欲してしまう。


それだけは嫌だ――…!






(…そうだ)


頭の中が真っ白になっていく中ふとあることに気がついた俺は、最初に透子に出会ったときの姿に変化してみる。そうすれば身体が小さい分、血への飢えも感じなくなった。
その事実に俺は小さく息を吐いて。



「ヴァンパイア、か………」


規則的な寝息をたてて眠る透子の頬に、小さくなった自分の手を当てた。