「………血、だ…」 思わず口を突いて出た言葉に、俺は愕然とした。 …ほんの一瞬だった。 俺は今透子を―――糧として見ていた。 (………っ、まさか!?) 嫌な汗が背中を伝う。 次第に激しくなる心音を必死で制御しながら壁に手をかざすと、そこには瞬時に鏡が浮かび上がって。 そこに映る俺の瞳の色は、ヴァンパイア特有の緑色で――… 「呪いが、解けたのか………」 呆然とそうつぶやく俺に気づくこともなくすやすやと寝息をたてている透子。 俺はただ、湧き上がる血への渇望を抑えるのが精一杯だった。