―――どこを見渡しても真っ白な空間。
その中にいるのは私と常陸だけで。


どういうわけか指一つ動かせない私は常陸にされるがままで。






『………俺の糧になれること、歓ぶがいい』


妖しく笑った常陸の顔が私の首筋に近づいていく。
口を開くと、そこからのぞくのは鋭い牙――…




…やだ。


………こわい!






「―――――っ、あ…!」




壊れそうなくらいの激しい鼓動と不規則な呼吸のリズム。
まぶたを開ければ、そこには見慣れた部屋の景色が広がっていたから。


(よか、った…)