「暴言を吐かない、にらまない。…常陸、ちゃんと守ってよ?」 「わかっている。…しかしこんなにも人間が集まって。心底鬱陶しい」 (わかってんのかな…?) 不安を抱えつつも、幾分穏やかな表情で私の隣を歩く常陸に私は安心していた。 いくら本人が出歩きたくないと言っていてもそれは本心じゃなかったらしい。今日一日が無事に終わればお金を渡して好きに出歩かせてもいいのかも、と思っていたときだった。 「おーい、透子!」 遠くから私を呼ぶ声に反応すると、視線の先には私に手を振る人の姿がある。