「たちの悪い呪をかけられたのですよ、透子様は」
―――屋敷に戻り、あれ以来ぐったりとしてしまった私を常陸はベッドに寝かせたかと思うと部屋から出て行ってしまい、代わりにやってきたのは日向さん。
日向さんはそう言って私の目の前に手をかざし、しばらくじっとしていたかと思うとその手をどかしてにこりと笑ってくれた。
「…呪?」
「えぇ。その者達は透子様に嫉妬していたのでしょうね。特に、志摩と呼ばれた娘は大臣の娘ですから殿下と会う機会も多く、恋慕を寄せていたのでしょう」
そう話しながら部屋に来たとき持っていた鞄を開け、中から薬草や液体の入った瓶を取り出すと調合しだした。
カチャカチャと、液体に溶かした粉を混ぜる音がする。
私はその粉が溶けていく様子を見つめながら、ぽつりと口を開いた。
「………常陸は、私のどこがいいんだろう」

