ここ最近の悩み事はこれ。
常陸の隣に立つのに、私よりふさわしい人がいるんじゃないかと思えば思うほど人の視線が気になってたまらない。


そう思ってうつむいた私の頬を、次の瞬間常陸は強く引っ張り上げた。



「い、いたたたたたた!ちょっと!何すんの!」


「俺がそばにいるのに笑わない透子への罰だ」


そう言ってそのままチュッと唇を落としてくるもんだから、私の頬はつねられた痛さと恥ずかしさでみるみるうちに真っ赤になる。



「…ヴァンパイアの決められた相手ってのは、互いにとって一番の相手になるんだぞ?少なくとも俺は透子以外の女なんてどれも同じに見える」


わざとゆっくり指と指を絡め、いわゆる恋人繋ぎになった私の掌にキスをしてくれた頃には、私は照れくさくなりながらも笑っていて。
相変わらず偉そうな口調だけどその手は優しくて、その優しさが私の中の劣等感を溶かしてくれるようだった。