そう言うとクツリと笑って、私の首筋に牙を立ててきた。



「……………っ!!」


「血が足りてなかったみたいだ。…飢えたときが一番危ないからな、少しだけ、もらうぞ」


そう言って強引に牙をねじ込んできたから、私は息を詰まらせて常陸の牙の感触を追う。


じゅる、じゅるりと懸命に血を啜る音ばかりが耳に響いて、なんだか恥ずかしくなってきた。



「…透子の肌も甘いが、血は本当に甘い。まるで花の蜜を舐めているようだ」


まだ少し血で汚れている自分の唇を舌で丁寧に舐め取る常陸の姿が妙に色っぽくていやらしくて、私はふいっと顔ごと視線をそらす。



「…変態!」


「透子限定の、な?」


クスクスと笑いながらそう答える常陸に、こういうことで勝てる日は来ないんだろうなと思いながら、私は常陸の腕の中でまどろんでいくのだった。