部屋の空気に溶けて消えた声が、言葉が存外寂しげで、私はそれ以上追及できなくて。
「……………顔、洗ったら出かけよう。買い物行かなくちゃだから」
それだけ言って私は常陸に洗面所に向かうよう促す。
最初は素直に立ち上がった常陸だったのに、何かに気づくと昨夜とは反対に私を見下ろし威圧感たっぷりに言葉を吐きだした。
「―――何?…貴様、よもや俺を連れ回すつもりか」
「だって常陸、アンタの分の着替えも買わなきゃなんないのよ?」
負けじと精一杯にらみつけて返すと、しばしにらみ合いが続く。
…王子様だろうがヴァンパイアだろうがここにいる間は私の言うことを聞いてもらわなきゃ割に合わない!
そう思った私は、常陸に詰め寄る。

