日向さんが私のために怒っているのはわかる。
わかる、けど。
「ひ、日向さん!」
思わず大きな声を上げた私に、二人が一斉に視線を向ける。
「…常陸だけが悪いんじゃないから、心配かけてすみませんでした」
私はゆっくり起きあがり、座ったままだけど頭を下げた。
「…透子」
「―――まったく、透子様にそう言われては許さざるを得ませんね。では私は夕食を運んで参りますからどうぞごゆっくり」
しばしの沈黙の後、ようやく日向さんがため息混じりに苦笑いを浮かべてそう告げる。
そしてそのまま部屋の外に行ってしまい、再び私たちは二人きりになって。
ベッドが軋む音がしたなと思うと、常陸が私のすぐそばに腰を下ろしたところだった。