(………!)


さっきまでのキスとは違う。
触れるだけじゃなくて、噛みつくようなキスに頭の中がクラクラする。


耳に直接届く彼の舌が私をかき回す音がやけに鮮明で、その音が耳に伝わるたびに私の身体は小刻みに震えた。



「このまま抱いてしまおうだなんて思ってないからそんなに緊張するなよ。…ゆっくりでいい、舌、絡めろ」


しかし、私の様子に気づいた常陸はいったん唇を離して私の頬を撫でる。


(…優しい)


まなざしも。
指先も、唇も全部全部。


そう思ったら身体の力は自然に抜けていって、私は常陸のキスを少しずつ上手く受け入れられるようになる。


…人間とか、ヴァンパイアとか関係なくて。
私たちは今、ただの恋人同士だった。