常陸の足音以外何の音もしない廊下。
私が今までいた部屋から少し歩くとこの屋敷の一番奥の、豪華な彫刻の模してある扉が視界に入る。


私たちが近づくとその扉は勝手に開いてまるで私たちを招いているみたいだった。










「…身体の、具合は?」


私をベッドに降ろしながらそう言う常陸に、そこに腰を下ろした私は赤くなった顔を隠すように腕を顔の前にかざしながら答えた。



「めまい、と、…身体が、だるくて」


「だろうな、身体が少し冷たい。………今、楽にしてやるから」


常陸はそれだけ言って私の喉元に触れた。
するとそこからなにか温かいものが身体の中に流れ込んできて、初めは身体を強ばらせて身構えていた私も次第にその力を抜いていく。