その様子に一気に不機嫌な表情になる常陸。
「…日向、答えろ」
「そんなに気になるのならご自分でお確かめになればよいかと」
そう言われ、常陸は言葉を詰まらせる。
その様子を見て、日向は心の中でため息をついた。
(………困った主だ)
「殿下、―――殿下は透子様のことを愛しておられるのですよね?」
唐突にそう訊ねれば、瞬時に顔を赤らめる常陸の姿。日向はそれを見て、確信めいた言葉を告げる。
「殿下のその態度がいかに透子様を傷つけているか良くお考えなさい。………それでもつまらない意地を張るのなら、私は明日の彼女の解毒処置の際に記憶操作を行います。あなた様に関する記憶のみを消し去るように」
そう告げて、日向は執務室をあとにしたのだった。

