…全部常陸の都合じゃない!
急に私の目の前に現れたのも、私の家に住み着いたのも、呪いを解くのも。勝手に始まって、こうやって勝手に終わる。
そんなの。
………そんなのって!
「―――日向、さん」
ブランケットを掴む手に、小さな水滴が落ちた。
「…常陸は、最初から最後まで私を“餌”としか見ていなかったんですかね」
「―――透子様!」
「だって、私だけ好きになって、…馬鹿みたいじゃないですか」
そう言って瞳を閉じれば、ぽたぽたと手の甲に滴が落ちていく。
行き場のない気持ちが流れて、もう涙は止まらなかった。

