動けなかった。 金縛りにあったように動けない俺の視界に飛び込んでくる、血の気を失い始めた透子の姿。 蜜のような香りが強くなればなるほど俺の理性がすり切れる音がして。 ………ふざけるな。 透子は、俺のものだ。 心も、身体も。 その血の一滴だって。 「―――――嫌ぁ!」 その瞬間だった。 聞こえるはずのない、声がして。 視界には必死に若狭殿の腕から逃れようとする透子。その瞳が俺を映した瞬間、みるみるうちに潤んでいく。 そして“常陸”と動いた唇。 俺の身体は勝手に動きだしていた。