その声に振り返れば、日向を足蹴にした男が俺を見て笑っていた。
…見覚えがある。
「暁、…そうか、貴様が」
白蛇の生き残りが透子のそばにいたなんて。
そうか、だから若狭殿は俺を敬遠していたのか。…透子を切り札にするために白蛇を潜り込ませて、いつの日か捕らえるために。
「………さて、殿下。僕はもう君には対して興味がない。ただ、君の苦しむ顔が見たいだけだ。君が手にするはずの栄光も、未来もすべて潰してあげよう」
広間にまた、声が響く。
そちらを見れば、若狭殿は透子の背後に立ち唇の陰に潜む牙を隠すこともなく、舌なめずりをして。
「この娘は、ここで殺す」
そう言うとその牙を透子の首筋に沈めていった。

